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欧州滞在記1月

工事途上

2000年1月1日(土)
 
TVで「モーゼの十戒」観る。ヘブライ人でありながら、王の妹に育てられたモ ーゼ。やがて約束されたエジプトの王の将来を捨て、エジプトを出、神の啓示 を受ける。ユル・ブリンナーの新国王の前にトロイのプリアモスが貢物(絹 か?)を持参するシーンが出る。紀元前1200年頃の出来事であったわけ か。
 
16時、心なしか日暮れの時間が遅くなってきたように思う。車でノルドヴィック の海岸へ行く(ワッセナーから約1.5km)。メルキュール・ホテル、チューリッ プホテルが並ぶ高級リゾート地のようだ。


夜、TV(オランダNET5)で第二次大戦中の日本軍強制収容所を題材とした映 画『Guests of the emperor』(アンソニー・ペイジ監督、イギリス1992)を観 る。ヨーロッパ人の女性のみが収容されたキャンプ、西郷大佐は残虐でいや らしい「いじめ」を女性たちに行う。目の前で食料をトラックにひかせたり、病 気になった女性の前で塩を与えるふりをしてそのまま地面に捨てる。女性を 撃ち殺したり、殴り倒したり、この映画を観ると日本人が明らかに嫌になる。 やはりショックは大きく、特に女性に対する残虐性は欧米でよけい反感を買う だろう。こういう反日、抗日映画を正月の1月1日に上映する、というところ、 TV局の日本人に対する「まだ許していない」という意志を感じた。

2000年1月2日(日) 小雨 アムステルフェーン、Nさん宅
 
13時、ワッセナーを出てアムステルフェーンのNさん宅へ(在蘭日本人)。正 月料理をごちそうになる。アントワープでアンティーク店を経営する野本(同じく 在蘭日本人)さんも訪問していた。ヒラメの刺身(うすづくり)がおいしかった。

野本さんによるとベルギーは運転が荒いとか。フランスに入るともっとひどく、 イタリアはカオスだと語る。Nさんは日本人の所業をいろいろ非難する。反発 もあるが確かに肯けるのが悲しい。オランダに住む日本人は人の足を引っ張 ることはしても助けることはない、と、他の国でも日本人の非協力的態度に会 って自分としては(それ故今回オランダ人とのコンタクトを重視した)納得。た だやはり生活情報に関しては日本人の情報が必要だった。

2000年1月4日(火) 曇り
 
クロアチアのツジマン大統領が亡くなり、新たな大統領が選挙で選ばれる。ツ ジマンは1991年のクロアチア独立の英雄だが、ナショナリスティックな政策 を取ったため西欧から排除されたきた。国民の月収は平均400$とか。新大 統領になったら、民主的な方向をめざすと言う。

2000年1月5日(水)
 
ITIオランダセンターに電話する。新任のアガサは別の人に再び変わったらし い。とりあえず新しいITIの担当者とコンタクトが取れ、7日に訪問することにな る。
 
14時、デン・ハーグに行く。AMWB(日本のJAFにあたる)に行き、国外メンバ ー資格の申し込みをするが、グリーンカードがなければ駄目と言われる。外事 警察に行き、2月3日に必要な書類の確認予定。そのあと中華食品店で食料 材料を購入。

2000年1月6日(木)
 
クロアチアのアレクサンダーから便りが届く。軍隊生活のこと、大統領選挙の こと、e_mailのこと、デズデモーナのビデオをメンバー皆で観たことなどが記さ れている。

2000年1月7日(金)
 
11時、ITIオランダセンター(オランダ演劇協会内)を訪問。Annemieke Keurenties と会う。オランダの演劇資料、演劇関係のアドレス、コンタクトパ ーソンを教えてもらう。アーティストレジデンスも紹介してもらう。

13時半、ホテル・オークラ・ロビーでNさん紹介による大保さんと会う。コンピュ ーター販売(主に日本人)をしている人、10年オランダに駐在員として滞在後、 独立したそうである。ホテル・オークラ地下のヤマ食品で買い物をして帰宅。 書店でオランダ史に触れた(主に16世紀)本を買い読む。

2000年1月8日(土)

ロッテルダムに行く。ボイスコン・ファン・ベーニンゲン美術館へ。「オランダ古 典派」の特集をやっていた。主に神話(ギリシア)と宗教画、肖像画で構成、16 世紀〜17世紀の作品中心。昨夜、この時期のオランダ史を読んでいたので 理解が広がる。

2000年1月10日(月)
 
文化庁へ提出する報告書を書き出す。

2000年1月11日(火) 晴れ

13時、アムステルダム、エヴァースの家に行く。RCのスケジュールに関する 打ち合わせとワークショップ、22〜23日にエルメールのエヴァースの別荘に 行く約束を交わす。

15時、スキポール空港で渡部君より日本で修理を依頼していたヴァイオ・コン ピューター受け取る。彼は高校2年から英国ウェールズの高校に留学をはじ め、今はオックスフォードの大学で哲学(デカルト)を学んでいるそうだ。教師 から日本の演劇のことを聞かれ、何も知らないのを悔やんで、昨年ITI日本セ ンターによる能ワークショップを受けたとか。

2000年1月12日(水)
 
コンピューターの設定を終える。とりあえず順調だがハブにディスクをつなぐと Win98が開かない。ディスクのケーブルをハブから抜くと開く。ディスクを直接コ ンピューターのUSBコネクターにつなぐとディスクは作動するがハブにつないで も作動しない。ブルートさん宅でコンピューターと電話線をつなぐ。成功。 BiglobeのE_mailをダウンロード、12月20日以降のものしか入っていない。



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